大型トラックのオートマとは?導入するメリット・デメリットも解説

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「トラックのオートマ化が進んでいるけれど、本当に導入すべき?」

「オートマとセミオートマとの違いがよくわからない」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、大型トラックのオートマの特徴や、導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。ぜひ、導入を検討する際の参考にしてみてください。

大型トラックのトランスミッションの種類 

 

まずは、大型トラックのトランスミッションの種類と特徴を解説します。トランスミッションとは、変速機とも呼ばれる動力伝達装置で、エンジンの動力を車輪に伝える役割を果たします。

大型トラックのトランスミッションの種類は、以下の3種類です。 

  • マニュアルトランスミッション(MT)
  • オートマチックトランスミッション(AT)
  • セミオートマチックトランスミッション(AMT) 

マニュアルトランスミッション(MT)

マニュアルトランスミッションは、ドライバーが手動でギアチェンジを行う変速機です。クラッチ操作とシフトチェンジを手動で行うシンプルな構造で、長年多くのトラックで採用されてきました。

他の変速機と比べて操作が複雑で、作業量が多いのが特徴です。しかし、伝達効率が高く、動力性能や燃費は優れています。

オートマチックトランスミッション(AT)

オートマチックトランスミッションは自動変速のため、基本的に前進・後進以外はドライバーによるギアチェンジの必要がありません。マニュアルのように難しい操作の必要がなく、扱いやすいことが特徴です。

積載量の多いトラックではエンジンブレーキによる細かい制御やクラッチ操作、ギア選択が求められるためシェア率が少ないですが、普通自動車で多く採用されています。

セミオートマチックトランスミッション(AMT)

セミオートマチックトランスミッションは、マニュアルとオートマの仕組みを掛け合わせたシステムです。「機械式セミオートマ」と呼ばれることもあります。

クラッチ操作の必要がなく、走行中にシフトチェンジする必要もありません。一方、状況に応じて変速操作も可能です。

大型ラックのマニュアル・オートマ・セミオートマのメリット・デメリット

以下では、マニュアル・オートマ・セミオートマのメリットとデメリットを詳しく解説します。 

 

種類 

メリット 

デメリット 

マニュアル 

・熟練者が運転する場合は燃費効率が良い 

・維持コストが安い 

・操作に慣れが必要 

・技術不足の場合は燃費が悪くなる 

オートマ 

・クラッチ操作不要で運転しやすい 

・操作ミスが少なくトラブルリスクを軽減できる 

・導入費用が高くなりやすい 

・熟練ドライバーが運転するマニュアルよりは燃費が悪くなる 

・エンジンブレーキがききづらい 

セミオートマ 

・クラッチ操作不要で扱いやすい 

・変速操作が可能 

・導入費用や維持コストが高くなりやすい 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マニュアル(MT)のメリット

マニュアルトラックは、熟練ドライバーが運転する場合に優れた燃費効率を発揮します。運転状況に応じた細かい変速操作で最適なギアを選択できるため、燃費効率の向上につながります。

また、構造がシンプルなため、車両の導入費用や修理費などのコストが比較的安価であることもメリットです。

マニュアル(MT)のデメリット

マニュアルトラックの運転は難しく、慣れや技術が求められます。クラッチ操作のコツをつかむまでは、エンストやクラッチディスクの損傷リスクも高くなります。特に渋滞時や頻繁な発進・停止が必要な場面では、ドライバーの負担は大きくなるでしょう。

また、適切なギアチェンジができない場合、かえって燃費が悪化する可能性もあります。運転操作に慣れるまでに時間がかかり、初心者には扱いが難しい点に注意が必要です。

オートマ(AT)のメリット

オートマトラックでは、クラッチ操作が必要ありません。そのため、運転経験が浅くても運転しやすいことが大きな魅力です。ドライバーの身体的・精神的負担が大幅に軽減され、ストレスなく運転できます。

また、操作ミスによるエンストのリスクが少なく、安全面でのメリットもあります。車両総重量が3.5トン未満、最大積載量が2トン未満のトラックであれば、普通自動車のAT限定免許で運転できることも特徴です。

中型・大型トラックに関しては、2024年12月現在はAT限定免許での運転は認められていません。しかし、警視庁は2026年以降に大型と中型免許にAT限定を導入する方針を示しており、将来的にはAT限定免許で運転できる可能性があります。

オートマ(AT)のデメリット

オートマトラックは複雑なつくりであるため、導入費用が高くなりやすい傾向があります。また、現代のオートマシステムでは、熟練のトラックドライバーを超えるほどのギア選択はできません。

そのため、マニュアルトラックを熟練ドライバーが運転する場合と比較すると、燃費効率が劣ることがあります。さらに、オートマトラックはエンジンブレーキの効きが弱くなりやすいという特徴があり、長い下り坂などでは注意が必要です。

セミオートマ(AMT)のメリット

セミオートマトラックは、オートマと同様にクラッチ操作が不要で扱いやすいところが魅力です。

一方、マニュアルのようにシフトチェンジもできるため、状況に応じて柔軟に操作ができることから、燃費の向上も期待できます。オートマトラックと同じく、AT限定免許での運転が可能です。

セミオートマ(AMT)のデメリット

セミオートマトラックは、マニュアルトラックと比べて導入・維持コストが高額になる傾向があります。また、オートマと同様、熟練のドライバーがマニュアルトラックを操縦するケースと比較して、燃費効率が劣る可能性があります。

 

近年セミオートマのトラックが普及し始めた理由

 

近年トラック業界では、セミオートマのトラックの普及が拡大しています。その理由として、以下の要因が考えられます。

  • ドライバー不足を解消するため
  • ATシステムの技術が進化したため

ドライバー不足を解消するため

トラック業界は深刻なドライバー不足に直面しており、セミオートマトラックの導入により人手不足を解消しようとしている企業が増えています。

先に触れたとおり、車両総重量が3.5トン未満、最大積載量が2トン未満のセミオートマトラックであれば、AT限定の普通免許で運転が可能です。そのため、AT限定免許しか持たないドライバーを確保するために、セミオートマのトラックの導入が拡大しています。

ATシステムの技術が進化したため

セミオートマシステムは重量のある車両でも効率的に動作し、燃費性能も優れていることが特徴です。

従来、重い荷物を積載して走行するトラックには、ATシステムは不向きであるとされていました。しかし、各メーカーによる技術開発が進み、トラック向けの高性能なセミオートマシステムが開発されるようになりました。 

セミオートマトラックの運転方法 

 

セミオートマトラックの運転方法は、一般的なオートマ車とは少し異なります。特に、発進時とバック時にはクラッチ操作が必要となるため注意しましょう。

発進時

  1. ギアがニュートラルであることを確認し、エンジンを始動する
  2. クラッチペダルを下まで踏み込み、ギアをD(ドライブ)レンジにシフトする
  3. クラッチペダルを半分程度(半クラッチ)まで上げ、ギアをつなぐ
  4. アクセルペダルを踏んで発進する

発進後は、通常のオートマ車と同様に運転できます。

バック時

  1. 完全に停止した状態で、左足でクラッチを踏み込む
  2. ギアをR(リバース)レンジにシフトする
  3. クラッチを半分程度(半クラッチ)まで戻し、ゆっくりトラックをバックさせる
  4. 目的の位置まで到達したら、ブレーキを踏んで停止する

車種や年式によっては、ペダルやスイッチ、レバーの操作タイミングが異なる場合があります。 

UD Trucksのセミオートマ大型トラック

クオン(Quon)は、UD Trucksが提供するセミオートマの大型トラックです。

電子制御式オートマチックトランスミッション「ESCOT-Ⅵ」を搭載しており、より使いやすく、よりスムーズな運転性能を実現しています。

さらに、ドライブラインに磨きをかけることにより、輸送効率を高めた燃費性能も特徴です。パワフルでありながら低燃費で、優れたドライバビリティ、安全性、快適性を備えています。